はじめに
近年、「医療的ケア児(医ケア児)」という言葉を目にする機会が増えました。
でも実際には、どんな子どものことを指すのか、どんな生活をしているのか知らない人も多いのが現状です。
この記事では、医療的ケア児の基本から、在宅生活で必要な準備、そしてわが家の娘の実体験も交えて、わかりやすくまとめました。
①医療的ケア児とは

医療的ケア児とは、日常的に医療的なケアを必要とする子どものことをいいます。
代表的なケアには次のようなものがあります。
- 経管栄養(経鼻・胃ろう)
- 吸引(口腔・気管)
- 在宅酸素療法
- 人工呼吸器
- 薬の調整・管理
- 定期的なモニター管理(脈拍・SpO₂など)
医療的ケア児について、厚生労働省は以下のように定義しています。
**「医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、
NICU(新生児特定集中治療室)等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、
たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと。」**
(出典:厚生労働省 [https://www.mhlw.go.jp/content/000981371.pdf] ※PDFファイルが開きます)
②医療的ケアが必要になる理由

医療的ケアが必要になる原因はさまざまです。
- 先天性心疾患
- 染色体異常(例:18トリソミー)
- 早産・低出生体重
- 呼吸器・筋疾患
- 代謝や神経系の疾患
- 手術後の長期フォロー
わが家の娘は 18トリソミーをもって生まれ、
- 動脈管開存(PDA)
- 心室中隔欠損(VSD)
などの心臓の病気もあり、今も在宅酸素や経管栄養が必要です。
娘についてはこちらの記事でも詳しく綴っています。
③ 医療的ケアの種類

医ケア児が受けるケアにはいろいろありますが、代表的なものをまとめると次の通りです。
栄養
- 経鼻チューブでの注入
- 胃ろうによる注入
- ポンプで持続注入することも
呼吸
- 酸素投与(鼻カニューレ)
- 吸引(鼻・口・気管)
- 一部は人工呼吸器
服薬
- 薬の粉砕・溶解
- 配合と時間管理
体位・排泄
- 体位交換
- 排泄ケア
- お腹の張りのチェックなど
娘の実際のケアにつてはこちらの記事をご覧ください。
④ 在宅生活で必要な準備
医ケア児が自宅で暮らすには、周囲のサポートが欠かせません。
医療面
- 訪問診療
- 訪問看護
- 24時間連絡できる体制
- 緊急時の搬送先の確保
訪問診療についてはこちらに詳しくまとめています。
訪問看護についてはこちらに詳しくまとめています。
生活面
- 酸素濃縮器、モニターの設置
- ケア用品の保管スペース
- 衛生管理
- ケーブルやチューブ類の安全確保
福祉制度
- 重症心身障害医療費助成
- 障害者手帳
- 児童発達支援・居宅サービス
- レスパイト(短期入所)
※自治体によって使える制度や条件が違うので、役所・相談支援専門員に相談するのがおすすめです。
⑤ 医ケア児家庭のリアル(わが家の場合)

ここからは、わが家の実際の生活です。
娘は現在、
- 経管栄養(持続注入)
- 酸素
- 薬の管理
- バイタルの観察
が日常的に必要です。

Mayumi
外出はほとんどできません。
自分の健診のときくらいしか外に出ない生活が続いています。
私はインドア派なので平気なのですが、外出がお好きな方には少し厳しいかもしれません。。。
娘の状態はその日によって違って、
- 脈が高くてドキドキしてる日
- 呼吸が弱くて酸素を上げる日
- 吐き気が強い日
など、いつも“観察”が欠かせません。

Mayumi
大変なことも多いけど、ミルクの量が増えたり、
少し表情が柔らかくなったり、眠りが深くなったり、
そんな小さな変化に毎回すごく嬉しくなります。
⑥ 周囲の人ができること

医ケア児やその家族を支えるために、周りの人ができることは意外とシンプルです。
- 無理に近づいたり触れたりしない
- 「大変だね」だけで終わらせず、話を聞く
- 兄弟がいる場合、気にかけてあげる
- 公共施設でケアスペースの理解を広げる
- 偏見を持たない
⑦ まとめ

医療的ケア児とは、特別な子というより、
**「少しだけ医療の力を借りながら、生きる力をいっぱい持っている子」**です。
わが家も毎日不安と喜びが行ったり来たりしますが、
娘の存在が、家族にとって大きな力になっています。
この記事が、医療的ケア児について初めて知る人、同じ状況のご家庭、みんなにとって少しでも役に立ちますように。
