はじめに

医療的ケア児と暮らす毎日は、医療との距離がとても近いもの。
「在宅医療と病院ってどう使い分ければいいの?」
「どんな違いがあるの?」
「どこまで家でできるんだろう?」

そんな疑問を、わが家の経験をまぜてまとめました。

こちらの記事ではより実体験を具体的に書いています。


在宅医療(訪問診療)が担うこと

🚗家で診察・処方が受けられる

通院の移動負担や、病院での長い待ち時間から解放されます。

  • 診察の場所: ご自宅のリビング、寝室など、最もリラックスできる場所で医師の診察を受けられます。
  • 検査・処置: 血液検査、尿検査、点滴、傷の処置などもご自宅で対応可能です。
  • お薬の手配: 処方箋を薬局に送り、**薬剤師が直接ご自宅へお薬を配達(訪問薬剤管理)**することが一般的です。薬の説明もその場で行われるため安心です。
  • 利点: 悪天候の日や体調が優れない日も、治療を滞りなく継続できます。
🩺 小さな変化を相談できる

在宅医療では、定期的な訪問により、患者さんの「いつもの状態」を医師や看護師が把握しています。

  • 「なんとなく食欲がない」「いつもより眠そうだ」といった、ご家族でも判断に迷うような些細な変化からご相談いただけます。
  • 早期発見のメリット: この小さなサインを見逃さず、迅速に対応することで、病状の急激な悪化や緊急入院を未然に防ぐことができます。
  • 安心感: 日常生活の延長線上に医療があるため、「こんなこと聞いてもいいのかな?」と遠慮することなく、疑問や不安を解消できます。
🏡 家庭全体の生活を見てくれる

医師は、患者さんの病状だけでなく、「生活のリアル」を重視した医療を提供します。

  • 生活環境の考慮: 訪問時、段差や家具の配置、衛生状態などを確認し、転倒防止や感染対策のアドバイスを具体的に行います。
  • ご家族のサポート: 介護されているご家族の心身の負担も考慮し、**介護サービス(訪問看護、ショートステイなど)**の利用計画の見直しや調整を、ケアマネジャーと連携して行います。
  • 多職種連携: 訪問看護師、ケアマネジャー、理学療法士など、すべての専門職の連携の中心となり、チーム全体でサポートします。
🚨 緊急の往診体制(機関による)

多くの訪問診療を行う医療機関は、24時間365日の緊急連絡・往診体制を整備しています。

  • 往診とは: 定期的な訪問診療とは別に、急な体調不良や状態悪化の連絡を受けた際に、医師が緊急でご自宅に伺うことです。
  • 夜間・休日も対応: 登録されている患者さんからの緊急連絡に対し、夜間や休日を問わず、電話相談や、必要に応じて迅速に往診を行います。
  • 入院調整: 在宅での対応が難しいと判断された場合は、連携する病院へ速やかに入院の手配・調整を行います。
  • 利点: 「夜中に急変したらどうしよう」という、在宅療養で最も大きな不安を解消し、安心した療養生活を支えます。

さらに詳しく訪問診療について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。


病院受診が担うこと

在宅ではできない検査・治療

  • レントゲン
  • エコー
  • 麻酔が必要な処置
  • 手術

定期受診で状態の“全体像” (娘の場合)

STEP1
レントゲン(胸部X線)

肺の状態や、心臓の大きさ、その他の骨格に異常がないかをチェックします。

STEP2
心エコー

心臓の動きや血流を画像で詳細に評価し、機能的な変化がないかを確認します。

STEP3
身長・体重測定

成長の確認や栄養状態の変化をチェックします。

STEP4
酸素化チェック(SpO2測定)

呼吸状態や血液中の酸素濃度を測定し、呼吸器系の安定性を評価します。

STEP5
医師の診察

これまでのデータと画像評価を総合し、今後の治療方針について話し合います。

「詳しく調べる」「大きな治療をする」 これは病院にしかできません。


わが家の在宅と病院の“使い分け”

わが家では、「日常の管理は在宅医療」「大きな判断は病院」という感じで併用しています。

在宅で守られている部分

娘の小さな変化を、往診の先生が本当によく気づいてくれます。
何かあったときも、まずは先生が来てくれて評価してくれるので安心。

病院で守られている部分

定期受診では、エコーやレントゲンなど 在宅では絶対にできない検査 をしてもらい、状態を総合的に見てもらえます。

手術をどうするか問題

娘は 心室中隔欠損(VSD) があり、手術という選択肢があります。
ただ体重がまだ少なく、リスクが高いため、
主治医の先生とも相談しながら、
「今はまだ無理して手術はしない」
という結論にしています。

手術の判断は、在宅医療では行えません。
病院での専門的な評価が必要。
だからこそ 在宅と病院の両方が大切 だと実感しています。

定期受診以外でも、「これは病院で評価してもらったほうがいいね」という時は、
往診の先生が 病院受診をすすめてくれます。

必要があれば 紹介状 を書いてくれるので、病院側もスムーズに状況を理解できます。


おわりに

在宅医療と病院受診は、どちらか一方ではなく、
両方がそろってはじめて「安心して暮らせる医療」 になります。

往診で日常を支えてもらい、
病院で詳しく評価してもらい、
その両方が娘の生活を守ってくれていると感じています。

この記事が、これから在宅医療を始める方や、
受診の使い分けに悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。