はじめに

この記事は「夫編#1」の続きです。
今回も医療的ケア児のママや子育てに向き合うパパから寄せられたお悩みに本音でお答えします。


Q4:自分のケアに自信を持ちたいけど…

パパ

たまには妻に自由な時間、一人の時間、友人との時間を過ごさせてあげたいのですが、子どもと二人きりで過ごせるか不安です。ママほど変化に気づけないかもしれないし、何かあった時どうすればいいかわかりません。

Mayumi

まず、医療的ケア児のママを代表して「ありがとう」と言いたいです。奥様想いのとても温かいパパですね。

医療的ケアが必要なお子さんの育児は、誰かに任せることが難しく、ママは休息の時間が本当に少ないです。いわば24時間看護で、緊張した状態で毎日を過ごしています。慣れないうちは、ママ自身も「二人きりで過ごすのが怖い」と感じていることが多いのです。

パパ自身が不安で自信がないうちは、いきなり二人きりで過ごすのは現実的ではありません。パパに不安があると、ママも安心して休めません。まずは、別室で寝てもらったり、家の中で一人時間を作ってあげるだけでも十分ママの心が休まります。

Mayumi

そして一番大切なのは、ママと自分を比べないこと。
多くのケアや手技ができるのは、単純に接している時間が長いからです。働くパパならなおさら、わからないのも、不安なのも自然なこと。ママだって、どんなに慣れていても急変すればパニックに陥ることがあります。

まずは、ケアに慣れるためにパパがお子さんと一緒に過ごす時間を増やすこと。
そして、どうしても自信が持てない場合は、訪問看護・訪問介護・短期入所(ショートステイ) などのサービスを利用することも選択肢です。

医療的ケア児のママの本音④

娘は2歳ですが、私は今まであまり「一人の時間がほしい」「外出したい」と強く思ったことがありません。インドア派で、韓国ドラマやバラエティを見るのが好きなので、家で完結してしまいます。

ただ、「たまには8時間寝たい…」 と思うことはあります。
お休みの日は夫が明け方担当で、娘が起きたら抱っこしてくれるので、その時だけ長めに睡眠がとれて助かっています。

まだ2歳だからかもしれませんが、私は娘と離れて夫に任せるのが少し怖いと思ってしまいます。少し外出しても気になって仕方ありません。だから、夫には 家の中でできることをたくさんしてくれるだけで十分ありがたい と感じています。

  • 無理をしないことが、ママの安心に。
  • 自分とママを比べない。

Q5:仕事と育児の両立…

パパ

子どもに基礎疾患があり入院することが多いのですが、仕事を休めず、付き添っている妻に任せきりで申し訳ない気持ちがあります。いっそ仕事を休んだり辞めてしまったほうがいいのでしょうか。

Mayumi

医療的ケア児は、ちょっとした風邪でも重症化しやすく、命の危険が近いように感じることがあります。だから「仕事より子どもに寄り添いたい」「妻に任せて申し訳ない」という気持ちは、痛いほどわかります。

でも、「休めない」と言うパパは、おそらく一家の大黒柱。
家計を支える仕事は、家庭にとって必要不可欠です。
奥様もその事情は理解しているはずですから、罪悪感を抱く必要はありません。

ただし、奥様との連絡は普段より多めに取ること。
長い付き添いは孤独で、誰にも不安を共有できず辛くなります。

そして、入院はつらいですが、
医療者がすぐそばにいる環境は、お子様にとってものすごく安全で安心です。
「入院している今は任せていい」と割り切ることも、大事な視点だと思います。

医療的ケア児のママの本音⑤

娘は一度PICUに入り、余命宣告まで受けました。入院は約三週間。そのうち二週間、夫は無理をして仕事を休み、できる限り娘に触れ合ってくれました。

でも二週間経った頃、担当看護師さんに
「ご両親にも生活があり、戻る場所があることを忘れないで」
と言われ、ハッとしました。

娘中心で生きていたけれど、私たちの生活は続いていく。
親も生活できなければ余裕がなくなります。

夫は仕事で車を運転するので、気持ちが乱れると危険だと思い、私は状況を細かく報告するようにしていました。

あの極限の経験をしたからこそ、もしまた入院となったら、今度はもう少し気持ちを保ちながら乗り切れるのではないかと思っています。

  • 自分自身も大切に
  • 未来を見据える視点を持つ

Q6:兄弟姉妹について

パパ

医療的ケアが必要な子を育てていますが、もともと子どもが好きで、兄弟がほしいとも思っています。将来のこと、妻に話しても大丈夫でしょうか。

Mayumi

お子様の状態が落ち着いているからこそ、兄弟姉妹のことを考えられるのだと思います。これはとてもセンシティブで、でも大切なテーマですよね。

ご夫婦でも話しづらいかもしれませんが、
パパ自身の気持ちが奥様と一致しているか確認することはとても重要です。

奥様は「ケアで手一杯で考えられない」と思っているかもしれないし、逆に「本当はパパと同じ気持ちだけど言い出しづらい」可能性もあります。

次に生まれる子は一般的には“きょうだい児”になります。
その子が感じることを、どう支えていくのかを一緒に考える必要があります。

「欲しい」「欲しくない」だけで考えるのではなく、
夫婦で丁寧に、慎重に、気持ちを共有することが何より大切です。

医療的ケア児のママの本音⑥

タイミング的に驚く方もいるかもしれませんが、娘がPICUに入院中、面会の帰り道で初めて夫と二人目の話をしました。

普段そんな話をしない夫なので驚きました。でも、娘を失う恐怖に向き合っていたからこそ、自然に出てきたのだと思います。

夫は最初「もう娘だけでいいかな…」と言いました。失うのが怖いから、と。でも私は
「娘を ‘もう欲しくない理由’ にしたくない」
と伝えました。すると旦那は「その気持ちもわかる」と答えてくれました。

その後は明るく
「あと一人かなー」
「私は帝王切開だからあと2回は産めるかなー」
なんて、冗談混じりで泣きながら話したのを覚えています。

家族の未来を考えるうえで、本音で向き合う時間が本当に大切だと感じました。

  • 話すタイミングを見極める
  • 本音で話し合うことが重要

おわりに

医療的ケア児の育児は、どうしてもママに負担が集中しやすく、パパは「何をすればいいかわからない」と思う場面が少なくありません。
でも、完璧じゃなくて大丈夫です。わからなくて当たり前なんです。

大切なのは
“わからないまま止まらず、関わろうとする姿勢を持ち続けること”

ケアの手技そのものだけが育児ではありません。
家事を少し進めること、ママの表情を見て声をかけること、休ませてあげること。
それらも立派な「育児の参加」です。

私自身、夫がゆっくりとできることを増やしながら一緒に成長してくれたことで、どれほど救われたかわかりません。
パパが一歩踏み出してくれるだけで、ママの心は確実に軽くなります。

焦らず、一緒に、できることから。
あなたのその一歩が、家族の未来を守る大切な力になります。